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今必要とされる宗教家を考える③

知っ得コラム

2022.10.19今必要とされる宗教家を考える③

師匠は、仏教哲学から精神学に通じ、精神科の先生といろいろな研究をされておられた。お寺には精神的な病で相談も多く、お寺で修行しながら精神を安定させるお手伝いもしていた。いかに不安とお付き合いできるかを少しずつ感じさせる修行だった。

ありがたいことに師匠からすべての担当を任され、多い時で一度に5人をまかされた。お昼に、運動をさせようとテニスに連れて行ったことがある。忘れもしない、3球打ったら「もうダメ。」「もう無理。」と言って一人がなげだした。投げ出したのはテニス経験のある50代男性。テニスコートを借りて5分もしていない。不安を持つ5人とも優しいゆえ、「じゃやめようよ。」とあっさり。コート使用料を払い。コートを後にした。仕方ないので、少し早いがお昼ご飯を食べようとファミリーレストランに入る。メニューを見せると「もうダメ。」と、先ほどの男性。「私は、こんなのがダメなんです。たくさんあると決めきれない。」ほかの4人は決めることができたがその男性だけメニューも閉じてしまう。そこでわたくしと同じものを注文した。食事が出てくる。男性の前に食事が来た。「もうダメ。」「無理。」「どれから食べていいのかわからない。」と男性。「じゃ、私の真似して食べてください。同じような状況で私がいなくても私を思い出して同じことをしてください。」といった。男性は、それから安心したのか黙々と食事をした。おなかがすいていたのだろう。食べ始めると私の真似をするどころか、5分で完食。満足そうだった。それから彼は、何かしら吹っ切れたのか、わからないときは人の真似をして受け答えをしたり、同じしぐさをしたりして物事を切り抜けていった。

1か月後、社会復帰した。お寺での修業は、朝5時からお給仕(お掃除)から始まり、5時45分からお参り、6時10分からご法門(お説教)7時から師匠のお言葉を聞いたあとみんなで食事、少し休憩して私と一緒に行動する。お寺に戻って17時からお参りして、食事を済ませ私と一緒に行動した後、21時に消灯。精神的な問題を抱えている方にとっては結構ハードであるが自分と向き合えるようになっていくにつれ前向きになる。5人全員それぞれの私生活に戻れたことが証拠だ。

まぁ、今言わしてもらうと私の方が大変だった(笑)。不安を抱えた人を5人連れて一か月間一緒に行動してみるとわかると思う。昼も大変。夜中も大変。ありがたい。すばらしい。

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