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カッパの刀 ~夢に出てきたカッパの願い~

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カッパの刀 ~夢に出てきたカッパの願い~

凡そ二百三十年前、大入の集落は僅か十数戸の寂しい農漁村で、東部沿岸沿いは水田が続く湿地帯で、沼地には葦が生い茂っていた。この沼地の一隅に「井樋の口」と呼ばれる石垣造りの水口が有る。


当時若くして名頭の地位に就いた諸熊甚昨は、氏神白山宮の神守りと集落支配の任に当たっていた。村人の信望を一身に集めていた甚作は、水田の水吐きや、潮の逆流がないか等の水口調べの為にこの沼地に入る事が多かった。そしてこの日は見回りの後、早めに床についた。


~師走半ばの午後の日、玄界の潮流に乗って穏やかなこの沼に入って来たのか、井樋の口に向かう甚作の側に一匹のカッパが恐れることもなく近付いてくる。
潤んだ目をした可愛げの有るカッパは丁寧にお辞儀をして「私はお産のためにこの沼に来ましたが、カッパは近くに刃物が有るとお産が出来ないのです。この付近に刃物が有って苦しんでいます。どうかその刃物を探し、取り除いてくれませんか」と哀願する。
甚作は不思議に感じながらも、付近を探し回り、井樋の口の石組みの間に黒塗りの鞘に納まった七寸余りの短刀一振りを見つけた。甚作はカッパの霊力に驚いた。カッパは「これで安産が出来ます。このご恩は決して忘れません。どうぞその短刀は持ち帰り家宝として祭って下さい。きっと家の災いは救われましょう」とお礼の言葉を告げると枯れ葦の茂みの中に入って行く。~
甚作はふと目を覚ました。


「おや、今のは夢か。へんな夢を見たもんだ」その夜はそのまま眠ったが、続けて毎夜同じ夢を見るので井樋の口に行ってみたところ、夢で見たのと同じ場所に、同じ黒塗りの鞘に入った短刀一振りと巻物一巻が添えて置いてあるではないか。甚作は持ち帰り家宝とした。


その後諸熊家では、師走の十日には白山宮と井樋の口の沼地でカッパの刀祭りが続けられた。いや、祭らねばならぬような霊験がこの神刀によって起こったのである。


甚作の子孫の重太郎は大入塩田拡張の件で唐津に行った時、護身に帯刀したカッパの刀を地元の酢屋熊太郎宅の神棚に預けていたのをうっかり忘れ家に戻った。するとその夜半から激しい家鳴りが起こった。置き忘れた刀の祟りに違いないと、急ぎ唐津に戻り、刀を持ち帰り神棚に納めたところ、家鳴りは嘘のように消えたという。
昭和七年二月大入に大火があった時、諸熊家も類焼する寸前だったがカッパの刀に祈り続けたところ、紙一重で類焼を免れた。


また同年四月、漁で重太郎親子三人を乗せた舟が、時化で沖に流され出した折も、神刀カッパの霊を念じ救助を祈った。その危機を知った留守宅でもカッパの神刀に灯明を上げ祈った。そのうち碇が「かなぎ瀬」という岩に引っ掛かり、運良く避難中の汽船に発見されて九死に一生を得た。


こうして諸熊家の不思議なカッパの刀はいよいよ大切に祭られているそうだ。

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