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いとしま伝説の小径

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人好き地蔵さん ~帰宅したはずの夫だが~

いとしま伝説の小径

人好き地蔵さん ~帰宅したはずの夫だが~

志摩の馬場から桜井方面に行く通称『志摩野越え』という山道は、昔は北崎や桜井から前原に出る最短距離の道として、相当の人通りがあったそうだ。


この道西側の松隈の山中にある地蔵さんは、松隈地蔵とか山田地蔵、日暮らし地蔵などと言われ、またの名を人好き地蔵さんという親しみのある名で呼ばれている。


今から百三十余年前の文久年間のある秋の日の話。この辺りは、西に面しているので日の暮れるのが遅く、農家の人たちがまだ早いだろうと思いながら、畑打ちをしていると、急に日暮れて夜になってしまうので、女たちは明るいうちに仕事を切り上げて家路につくというのが習慣になっていた。


松隈に住むある若夫婦がここに一枚の田を持ち、この日も仲むつまじく土起こしをしていた。そのうち夫の方は村の寄り合いがあるので「終わったら迎えに来るが、もし遅くなったら、お前も日の高いうちに帰っておいで…」と言い残して帰った。
働き者の若妻は、少しでも余計に耕しておこうとせっせと働き続けた。間もなく夫も戻って来て、夫婦は再び仲良く語り合いながら、くわを振るい始めた。


一時間、二時間、三時間、若妻もそろそろ帰ろうかと思って夫を見ると、夫は相変わらず楽しそうに仕事をしている。ふと気付くと秋の日はもう可也山に隠れて、四方の山々は暮色に包まれているのに、夫婦の居る田だけは真昼のように明るい。

何となく気味が悪いので若妻は夫をせき立てた。「まだ明るくてもったいないが、それじゃ帰ることにしよう」と夫も承知し、連れ立って家路に向かった。すると今まで明るかったはずの山道が急に真っ暗になった。ところが、不思議なことにスタスタと歩いている夫の周囲だけは明るい。

若妻は気味が悪いながらも夫の後に従っていたが、やがて家近くになると急に夫の周囲から明るさが消え失せ、一寸先も分からぬ暗闇になった。あまりのことに妻は気を失ってその場に倒れてしまった。


間もなく、提灯を持った夫が走り出て来て妻を家に運び込んで「どうした。早く迎えに行こうと思ったが急に来客があって遅くなり、今迎えに出掛けるところだった」「なにを言うのです。あなたは私を迎えにきて、一緒に田を打ち、そして一緒に帰ってきたところではありませんか」「いや、わしは今はじめて…」夫婦はキツネに騙されたような気になり、お互いに今日の出来事を話し合った。「それじゃきっとあのお地蔵さんだ」
その地蔵さんとは、人里離れた所に立っている地蔵さんのことで、たまたま人を見ると話し掛けたくなるらしい。

この日も夫に姿を変えて若妻と語ることを楽しんだが、あまり暗くなるまで引き留めたので、家まで送り届けたのだろう…という話である。

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